イメチェン小説

夏のイメチェンストーリー:小説

休みという名前がついている日に休んでいる人なんているのかと思う。
夏休みになった今だってこんなに連日暑いというのに毎日外出しなければいけない用事がある。
子供の僕だけど忙しい。
塾や習い事は当たり前にあって、その他にも親の用事や地域のイベント事、友達に付き合わなきゃいけない出来事など、やらなきゃいけないことがゴマンとある。
思えば父親だって連日仕事に行ってる。
普通の土日休みだって家族サービスや何かで出掛けるのだし、やっぱ誰でも動きっぱなしだよね。

学校の人たちもそういうことを薄々分かっているような気配だけど、はっきり言い合うのはネガティブな気持ちになるし、誰もが触れようとはしない。
そんなんでどうにかなるのかなという不安と、でもどうしようもないんだよね?という諦めしか今のところ分からないから。
そういうちょっと暗い気持ちなのは伝わり合っているような感じだ。
それでやっぱり、今日も友達付き合いの場にいる。
中学生のうちに先輩学年の人たちも皆やってきたという行事を、とりあえず今やるべきなのだ。
別に、夏にはプールへ行くとか、花火や肝試しの場を作ってみるとか、そういうことなだけだけど。

一緒に遊びに来たうちの一人、同じクラスの女子の坂上さんは、夏休みに入ったということで盛大に頭を染めてきた。
金髪の方へ行きたいのかなと思わせるような黄色がかった茶髪だ。
でも正直言って、彼女のまるいショートカットの髪が品のいい感じになったとしか見えない気はする。

普段の学校生活もこういうことについて思い思いでいいのになと思う。
別に綺麗じゃんと思うから。
こういう自己演出力についても集団の中での振る舞い方に上手い下手があるだけだろうし、いっそ言葉遣いや態度のことなんかと同じように、それも先生が指導する前提で容認すればいいのに。
よくできない子はとりあえずはちゃめちゃな色使いなどをして周囲の目を痛くさせるけど、上手な子は周りの気分も合わせて色選びなど出来て、どんなに派手にしても周りに調和してもいるし、周囲への自己主張も適度に出来ているとか、あるだろうと思う。

心の中で毒づく僕に対し、坂上さんは何か布で作った花がいっぱい付いている髪飾りを染めた髪の上に飾り出した。

「やっぱこういうこと出来ると楽しいからいいな」
「普段もほとんど色が変わったのが分からないくらいにこっそり染めたりはしないの」
「うーん‥まだ中二だから大丈夫だとは思うけど、生活態度的なことはどう内申に影響するか分からないからね」

僕も夏休み中に普段はしない何かについて考えてみようかと思う。
学校では教わらなくて、でも自分で極めておくと便利そうな何か。

坂上さんは髪飾りを留め終わって言った。

「私夏休み終わったらまたイメチェンするよ」

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