シチリア・オルティジャ島に、一人の美しい女性マレーナが住んでいます。
人々が秩序ある暮らしを営んでいたこの街は、腰までとどく艶やかなロングヘアーの若きマレーナが生活の基盤を失っていく中で、その静けさを狂わせていきます。
モニカ・ベルッチ演じるマレーナの美貌は顔立ちにとどまらず、豊かな肢体に至るまで、ひれ伏し、あがめるに足る圧倒的な美しさです。
街の男たちは、そわそわと、自らの理性を徐々に失っていくのですが、彼らの妻たちがとる行動が凄まじい。
誘惑されていくのは男たちの側であるのに、物語の終盤で、彼女たちはマレーナを、力づくで見るも無残な短髪にしてしまうのです。
ほとんど無抵抗で、まるで男の子のように短い髪の毛にさせられてしまったマレーナ。
けれども、それであっても、無様さは外見だけで、マレーナの長い脚はどこまでも肉感的で、野性的で、じょきじょきに切られてしまった髪形とのアンバランスは、拭えない色気を醸します。
長く豊かな黒髪は、若く実りをもたらすことを連想させる女性の象徴なのだなあとつくづく感じさせられた、そんなイタリア映画です。
作品名:マレーナ