2016年に大ブレイクした映画『君の名は。
』では、主人公のミツハが、自慢の黒髪をばっさりと祖母に切ってもらうシーンが登場します。
それは、東京に住むタキに会いにいったものの、自分だと気づいてもらえなかったことにショックを受けて、気持ちを切り替えるための行動だと感じます。
女性がイメチェンをするときの代表的な要因の一つに失恋が挙げられますが、そこには女性の強い決意が隠されているように思います。
「失恋をしても、落ち込んでいては仕方ない、前を向いて生きよう!」と努力する姿勢を感じるからです。
映画の中では、ミツハは髪を切ったあとにも、まだ落ち込んでいる様子が見られました。
ですが、初めての失恋にはそのような経験もつきものなのではないでしょうか?自分の気持ちとしては、「切り替えてポジティブでいよう」と考えていても、感情のコントロールがきかない状態に陥ってしまうのも、良くあることだからです。
失恋をして、イメチェンをしようと決意をするときの女性の本心には、「よりキレイになって失恋相手を見返すため」や、「いままでの自分との決別」といった意味が込められています。
『君の名は。
』のミツハに強く共感でき、多くの女性からも人気を集める理由のひとつとして、この「髪の毛をばっさりと切るシーン」は欠かせない要素となっているのです。
「もっと強くありたい、でも感情が思うようにコントロールできない」と葛藤して、それでも進む努力をひたむきに行う10代の不器用さが、良く表わされているシーンだからです。
彼女のように勇気をもって、誰かを想ったり、家族や大切な人と向き合おうとする懸命さは、見る人をとても魅了し、応援したいという気持ちを駆り立たせてくれます。
ミツハのように、純粋で不器用で、でも勇気を持って行動できる強さのあるキャラクターは、多くの女性のエネルギー源となるようなパワーを秘めているようにも思えます。
映画の終盤のシーンで、髪の毛を短くしあとのヘアスタイルに、しっかりと組紐を結び直すシーンも登場しますが、ミツハのまた別の魅力や、変化する心情や新たな決意を、ヘアスタイルを通して感じられる作品だと思います。