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彼好みの女の子:小説 #イメチェン小説

わたしの好きなひとは男ウケ抜群のタレント ノノカのファンだ。肌の色も白くて、長い髪をアップにしてナチュラルなメイク。会話は舌ったらずな喋り方で女にはウケが悪い。
わたしもノノカは好きじゃないけれど、彼が好きだというのでテレビに出てくると目を追うようにして見るようになってしまった。おかげでショッピングも本来の好みじゃなくてノノカっぽい!とワンピースを見つけるとなんとなく気になってしまう始末。
ついに、ぜんぜん好みじゃないのに彼に気に留めてもらえるかもとワンピースを購入してしまった。
案の上、うちに帰るとワードローブからそのワンピースは浮いてしまっていた。しかし、せっかくなので着てみる。眼鏡はそのままにして(コンタクトは怖いのだ)
髪もアップにしてみる。
ただ、着てみるだけだったのに彼の反応はどうか試してみたい衝動がムクムク湧いてきた。同級生の情報から聞いた彼のアルバイト先のスポーツ店に行ってみようかな。

後日、スポーツ店に行って商品整理している彼に思い切って声を掛けてみた。
「あれ?誰かと思った。なんか雰囲気ちがうね。教室以外で会うとわかんないもんだな。」と
学校以外で会った同級生に珍しいような、でも嬉しそうな顔でわたしを見るのだった。
正解だ、ニコニコしている彼の顔でそう思った。今までにない彼の反応から もっともっとノノカっぽくなるよう研究したいと思った。
「ジョギングするのにいいウェアがないかと思って。また来るね。」といって適当なウソを言いスポーツ店を後にする。帰りに肌を白くする美容液とノノカの色のリップを調べて買った。
高くてお小遣いはふっとぶけど、彼の笑顔がまたみられるかもとワクワクする。わたしはハキハキした喋り方だけど、ちょっと語尾を伸ばしてゆっくり喋るようにもしてみよう。幼馴染のミキは語尾を伸ばして喋るわたしを見て「は?」と怪訝な顔をしていたけれど気にしない。
テレビでみたノノカの人を上目遣いをするようにしてみる癖も前はあんなに否定的だったのに気づけばもっと真似したいと思うようになってきた。その証拠に学校でも彼はわたしに嬉しそうに話しかけるようになってきたのだ。
ノノカ様様!!と心の中でノノカに感謝するわたし。
一方で、これでいいのか不安になるわたしもいる。これでいいの?と幼馴染のミキの顔がなぜかちらついた。不安を打ち消すように彼の嬉しそうな顔を思い出し幸せな気分に包まれた。
いや、これでいいのだ、とわたしはテレビで微笑んでいるノノカをみて強く思った。

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